インドはほぼ東西南北と菱形に広がった広大な地形で、人種や言語、習慣もそれぞれの地方で異なるため、住まい探し中もまだまだ未知の出来事に出くわすことが多いでしょう。ここでは地域差を含め、インドでの居住環境や住まい探しの際のポイントを述べます。
基本インドには日本のワンルームマンションのような建物はないと思って下さい。ムンバイ、バンガロール、チェンナイ、グルガオンにいくつかあるホテル併設タイプが多いサービスアパートを除けば、インドのアパートメントの建物はほぼ全て家族用で、一般的な部屋のタイプは3ベッドルームと呼ばれる3LDKタイプ から5LDKです。無理をして小さい部屋を探そうとすると、外国人の住まない治安の良くないローカルエリアになるためお勧めできません。単身でも一つのベッドルームは自分用、二つ目はゲスト用か家族訪問時用、三つ目は書斎またはジム、家事室になることが多く、住んでみると使いやすく快適です。
契約条項に必ず相互同意の上、設けられます。入居からこの期間中は、双方とも契約を解除することはできません。家主や都市によっても違いますが6ヶ月~11ヶ月などが多く、その間は家主側もテナント側も契約解除できない決まりのため、テナント側で契約を終了したい場合はその期間分の家賃は保証しなければなりません。ただ家主側も、突然出て行けとは言えないわけで、双方に縛りとなります。
北インドでは一ヶ月が一般的ですが、2ヶ月を要求する家主もいるため、インド国内の転居の場合は、退去通知後、部屋探しを開始するとタイミング的にちょうどいいということになります。
一般的には家具付き、家具なし、サービスアパートの3つのタイプがありますが、セミ家具付きというのもあり、それはエアコンやお風呂の湯沸かし器、照明など動かない設備が元々付いている部屋のタイプです。家具は買わずにレンタル家具にするという需要が増えています。
北インドでは物件の入れ変わりが激しいため入居1ヶ月前からで十分ですが、南インドにいくともう少し時間がかかかることが多く、45日前くらいからがいいでしょう。
一昔前までは、日本人が前に一度住んだ物件がトラブルがなくていい、と言われていましたが、建築技術の向上により最近は、新しい物件の方が規格に沿って建築されるためトラブルも少なく、キッチンなども嵌め込みの食洗機やオーブンなどが設営済みのシステムキッチンとなっており、新しい物件が大人気です。
主な要望は家具付き物件ですが、会社によっては自分たちが家具を所有しているため、セミ家具付きを探す企業もあります。すぐに住めない家具なし物件の要望はほとんどありません。
家主は10ヶ月分のデポジットを要求しますが、交渉次第では6ヶ月分になることも。それより短くすることは出来ないことがほとんどです。
チェンナイは北から南にかけて縦長に広がっており、駐在員の住居も散らばっています。家族帯同者には南にあるアメリカスクールの近くが人気です。このエリアは3~5階建ての日本のマンションタイプの建物が多く、10階以上はありません。上の地域以外にチェンナイには北と南を結ぶ2つの大きなメインロード、OMR(Old Mahabalipuram Road)とECR(East Coast Road)が通っており、この2つの道路に面して、高いビルディングの住居もありますが、騒音問題もあります。人気エリアの中には市の中心部から少し離れていますが、海に面し、静かで清潔なエリアで、治安が非常にいいエリアもあります。通勤に時間がかかることが難点ですが、一部の日本人や欧米人には好まれています。単身者向けには別州にある工業団地への通勤に便利な住宅地もあります。ショッピングモール、ビジネスセンター、ホテルに隣接する住宅地で、単身者用には最適です。
11ヶ月のロックイン期間、1または2ヶ月前の退去通知
2ヶ月〜1ヶ月半前が最適です。ほとんどの方は物件を2度訪問する必要があり、その後の家主との交渉や契約内容の調整日数もかかること、前金(手付け、敷金)の支払い処理完了後に、家主は入居に向けての修理/準備作業にとりかかるためです。
家主のほとんどが年5~10%の値上げを要求します。
システム自体は日本の部屋探しとさして変わりませんが、インドも南にいくにつれ敷金が高めになるところは、日本の関東と関西圏の文化の違いに似ていると言えます。
ムンバイは世界を代表する商業都市。100年以上前から日本の商社等もこの地に根を下ろし、西アジアの拠点としてビジネスを発展させてきました。ムンバイの住まいの特徴としては土地が狭く地価が高いため、高層アパートが多く、現在かなりの建物が老朽化してきているということです。市内でメトロ建設工事も始まっているため、古い建物を壊し、建て替えるビルが増えてきています。町は朝晩渋滞。一年を通して20~30度の温暖な気候で冬支度が要りませんが、海沿いのせいか湿度が高いので、革製品や靴などには防カビ対策が必要です。
上でも説明しましたが、住居用の賃貸物件はほとんどが高層アパートです。一軒家は大富豪のみが所有していると言えるでしょう。ワンルームなどはありません。数少ないですが2LDK、一般的には3~5LDK が一般的です。家具なし、セミ家具付き(湯沸かし器、エアコン、照明等の基本設備、ときには電子レンジ、オーブン、クローゼットなどもあり)、フル家具付き(ベッド、ソファ、ダイニングテーブルからTV、WIFIなどまで完備)の3つのタイプが主流です。アパートの管理事務所がケーブルTV配信や警備員配備、セキュリティカメラ設置、庭の手入れ、基本建築の修理、お祭りの際のイベント開催など住人の面倒を見ます。いくつかのアパートにはプール、ジム、コンビニ的な商店、ドライクリーニング店などが施設内にあります。単身者にはフル家具付きが人気です。家族帯同者は日本から家具や家電を持ってくることが多いため、セミ家具付きの需要が多いです。
ムンバイは部屋タイプによって敷金の額が違うことが多いです。家具なしでは家賃3~6か月分、家具付き物件では6~10か月分が平均です。インドはデリーなどの北よりが敷金が少なく、南に行くほど高くなる傾向があります。家賃は一言で言えば首都のデリーよりも割高です。
ムンバイには日本人学校があるため、駐在員の家族帯同者は学校のあるポワイ、もしくはバンドラ、ローワーパレルなど通学通勤に便利なムンバイの中心部に住むことが多いです。ムンバイは渋滞でも有名なので、遠くに住むと毎日の通勤に苦しむことになります。
最短で1年契約。家主は2年を望みます。ロックイン期間は12ヶ月。2ヶ月前の退去通知が必要。
2ヶ月前くらいにスタートするのがいいでしょう。ムンバイの物件は富豪が投資目的に購入している場合が多く、家主が海外に滞在していることも多々ありますので、契約をまとめるまでに他の都市より多少時間がかかることがあります。またムンバイのアパート管理事務所は規定が厳しく、家族形態やビザの内容も確認、警察署からの身分証明の提出義務などもあります。
家主のほとんどが年5~10%の値上げを要求します。
プネはムンバイから南東に電車で約2時間、車で4時間前後で行ける都市で、ムンバイのような大都市と違い、緑の多いのどかな地方都市といった印象の町です。プネ大学を中心に様々な専門学校、カレッジが並ぶ一大学術都市となっています。ムンバイに近いため、大都市と緑の多い小都市と言う違いの他、賃貸条件などにそれほど違いはありません。
アパートのタイプはほとんどが中層階のアパートで、日本の公団のようなイメージの外観で、3LDKから物件があります。インドの家族用アパートなので、ワンルームなどはありません。家賃はムンバイの半額以下ですが、日本人が好むエリアはコレガオンパークやカリヤーニナガルなど限られており、従ってアパートも限られてしまうため空室待ちの駐在員もいます。
インドのアパート内部の設備も年々充実してきています。日本とは多少違うかもしれませんが、安心して住めるレベルになってきていると思います。ご家族帯同も一度見学にいらしてみてはいかがでしょうか。